恵比寿駅前

ここで書きたかった
台本の裏話。

一個だけどうしても
書きたかった裏話。




江口久之と匠士也
この関係。




「劇団風魔」で
盟友だった江口と匠。




舞台でメイが事故死。
それを夢で見ていた江口は
自らの予知夢の能力に疑問を感じながらも
「やはり舞台は中止しよう」
と、切り出す。

たかが夢。
そんなんでは舞台を中止する理由には成らない。
江口の申し出を断る、劇団の座長・匠。

せめて殺陣のシーンの見直しをと嘆願するが、
それも却下される。
ハリウッドから、劇団風魔の腕を確かめに、大物プロデューサーがやってくる。
そのプロデューサー名は「ナッキー・アイアーラ(Nakki I-Ara)」
もちろんスピルバーグとか、そういう人をイメージ。
「ラストサムライ」的な映画を想像。






このプロデューサー名は台本ではカット。(笑)
「変わった名前だったので、何か意味があるんだろうなと思ったんですが、みんなここで噛むので、致し方なくカットさせて頂きました(笑)」と、毛利さん。

あ、いいんです。これは俺の自己満足なんで。(笑)

Nakki I-Ara

Arai IKKAN

えと、逆さから読むと俺の名前です。
・・・で、話を戻します。(笑)





世界的なプロデューサーに魅せるべき
その殺陣のシーンは、
ものすごい迫力の上に、大技であった。

その大技をやらないってことは、
劇団風魔は、なんの変哲もない殺陣集団になってしまう。
それではプロデューサーが見に来たところで意味がない。

匠のプライドのために
殺陣シーンの見直しはされずに本番を迎える。

予知夢の通り、メイは事故で死ぬ。

ほら!言った通りじゃないか!
人が一人死んだんだぞ!!
お前、どう責任を取るんだ!!!

この一件で、
劇団風魔は解散。

江口も芝居を辞め、
匠も表舞台から足を洗う。

その後、江口は
イベント会社に就職。
劇団で作・演出・出演をやっていただけあって、取り仕切りが上手い。
で、演劇よりも遠いイベントであればまだ良かっただろう。
しかし、そこは会社員の宿命。
シェイクスピアランドなんていう大きなイベントを受け持つことになった。
心に枷は残ったままだが、
心の中にいるメイは、いつも江口を応援してくれる。
きちんと気持ちを分けて仕事に取り組む。

匠は
劇団解散後、フリーの役者となり商業演劇で小さな役をやり続けていた。
江口は、匠のそういうところも許せなかった。
その後、役者を辞め、殺陣指導をメインの活動としていくが、
江口は二度と顔も見たくない。そんな気持ちでいた。



そんな二人がシェイクスピアランドで再会。
江口は許せぬ心のまま、匠に怒りをぶつけるが、
プロとしての自分と、私情の間で揺れる。



そこで!

まあここまでは、
ただの掘り下げですよ。
読みこめば誰でも、あーそうですねと思える。




ここから、毛利さんの演出の変わっているところです。




俺は
江口が一方的に匠を許せない。
というような感じで台本を書きました。
もちろん毛利さんも知ってます。



けど、
毛利さんがね
この芝居を変えたんですよね。

もちろん「演出」って仕事は
悲劇を喜劇に変える事も出来るし、
ドタバタコメディーを不条理芝居にすることも出来る。




毛利さんは
江口を、30-DELUXの佐藤キャプテン
匠を、清水さん

の関係にしたいと言い出した。



30-DELUXってのは
旗揚げ以来、
4人まともにそろって本公演を打ったことが無いユニットで、
前回3月で、初めて本公演に4人とも揃ったという希有なユニット。

要するに、
旗揚げ以来、
4人集まったはいいけど
毎公演、「方向性が違う」と、誰かしらが抜けているわけですよ。

普通、一回目くらいは4人揃えばいいじゃない?
って思うんですが、
ホントに、4人揃ったのは第6回本公演だけで。

シェイクスも
また二人ですわ。



ちょうど
若さとポリシーとプライドに揺れる
35歳ですか。
いい時期なんでしょうね。


毛利さんは
この噛み合わない二人の関係を
キャプテンと清水さんに重ねて芝居を演出したいと言った。

つまり、江口と匠を憎み合っている関係にさせて
その二人が、芝居のラストでお互いを許せたらステキだなって思ったと。

ちなみに俺の書いたイメージでは
匠は江口の事を憎んでいるなんて書いてない。
けど、お互いがぶつかっているから、
ラストに取り戻すことが、大きなドラマになるんだ。
みたいなことを毛利さんは仰ってた。



なるほどー。
いや、もちろんそういう演出もアリかな。
そう思って、そこはもう毛利さんに託した。


稽古途中、
やっぱり見学に行っても
台本に書かれていない部分なんで多少の違和感を感じた。
大変なのは瑞樹君と清水さん。

匠が江口を憎む理由を作らなければならない。



俺の解釈はこうだ。


台本上には書かれていないけど、
メイが死んだ後、江口の行動のせいで、絶対的に許せなかったことがあって
それで匠も匠で、自分の正義の中では江口を許せない。


そうなったんだ。

うん。


それしかないんじゃないか?
とね。

二人は戦ってましたねー。
書かれていない部分を演じなければならないんだから。
演出ってのは改めて、無理難題を役者に押しつける仕事だなと。(笑)





で、
「アゲハ蝶」
ですよ。
劇中で流れてましたよ。

これ俺
自分で、iTunesでかけながら台本を書いていて
毛利さんに
「どうですか?この曲、今回の芝居のテーマソングっぽくないですか?」
と、言ったら
即採用。



でね、俺
通し稽古で気づいたんだけど

30-DELUXって
佐藤キャプテンが
「Yellow」の公演で舞い戻ってきて
「Blue」の公演で去った。
みたいな感じなんですよね。
公演の歴史を見ると。




あ!!!!


『喜びとしてのYellow 憂いを帯びたBlueに・・・』

うおおおお!!!
ぴったり入ってるじゃん。

戻ってきた喜びがYellow
Blueで離れた憂い


俺は
単純に詩の全体の感じが
今回の台本にあってるなと思ったけど、
江口と匠とメイ。
この三人の心情をそれぞれ出しているなと。




しかしまあ、
こんな偶然があろうとは。




日本語の歌を
劇中で流すのは
ギャグ以外じゃあまりやりたくない派の俺だけど
なんかこのときばかりは

おお・・・・
って思った。




毛利さんの手綱さばき。
いやこれもう面白いもんですよ。




あー
江口の台詞のこと
一個だけ書きたいなー。
また今度にしようかな。





あー
仕事の時間だ!
そんでは!